おばあちゃんの寝息と子供たちの寝言は聞いたことがありません。縦の移動は苦になりませんよ!エレベーター有りますから。⇒
建築基準法56条の2に規定される日影規制。住居系の地域に建築物の影を及ぼす場合、冬至の日照時間を基準として、一定時間の日照を確保するために定められた建物高さの制限で、第1種、2種低層住居専用地域内を除き、軒高10mを超える高さの建物に適用されます。(低層住居地域は7m超)
住宅建物では、1階あたりの階高が概ね3m前後(スラブ厚含む)ですから、3階建てはその3倍、つまり約10m足らずとなります。それ以上階層を重ねるとこの規制に係るため、都会の狭小地では建物の用途が極端に制限され、実際は居室として利用できるようなスペースが取れなくなります。
また、木造3階建ての住宅には通常の建築に掛る設計とは別に、構造設計と呼ばれる建物強度の計算が必要となっています。水平力、せん断力、引き抜きに掛る耐力計算と、工法別による耐震構造や壁量計算、それに基づく部材の仕様など、2階建てや平屋に比較してかなりの制限が課せられています。
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| 規制範囲は、敷地境界線からの水平距離が5メートルと10メートルの2つの線を設定し、それぞれの線をこえる範囲において、規制時間以上の日影を生じさせてはいけません。(建築基準法56条の2) |
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という訳で、我が国では住宅建築の基本的なスケールが10mであり、3階建ては住宅におけるMAXスケールとして普及したという見方もあります。
この10mを毎日階段で上り下りすることは、予想以上に体力を使います。高齢者に至っては、それはもう生活の中に組み込めない苦痛の縦動線でもあります。この苦痛を緩和する装置が、家庭用昇降機、つまりホームエレベーターなのです。他に、高齢・障害者仕様の階段昇降機も開発されましたが、狭小住宅の階段幅員そのものが狭く、昇降機を取り付けるスペースを確保出来ない住宅が非常に多いため、その設備は殆ど狭小住宅には普及しなかったようです。
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| 着座式階段昇降機(資料:長野昇降機サービス) |
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ホームエレベーターとは、個人住宅に設置されるエレベーターのことで、一般ビル用のエレベーターとは区別 されます。個人住宅とは、一世帯の住宅、同一世帯のみが使用する住宅で、共同住宅のように異なる世帯が利用する場合は設置できません。また、ホームエレベーターは2〜4階建て住宅に適用され、建築基準法上、昇降行程(エレベーターが走行する最下階から最上階の床までの高さ)が最大10m、昇降速度30m/分以下(従来は12m/分以下、2000年9月から緩和)、積載量200kg以下、エレベーター内床面積1.1m2以下と制限されています。更に、ホームエレベーターには使用者の規定もあり、設置住戸の同居世帯員しか使用してはならず、厳密には来訪者は使用してはいけないことになっています。
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| ホームエレベーターは年間3000台程度の普及(資料提供:1208HS型・松下ホームエレベーター(株)) |
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既存住宅におけるエレベーターの設置条件は、建築基準法適合住宅に限られ、設置の際は建物の強度を確保する必要があります。また、エレベーターの確認申請を行政庁へ提出しなければなりません(エレベーター確認済証発行後に建築工事となります)。増改築の場合、増築面積が10m2以上や防火地域の場合は、建物の確認申請も必要になります。また、建物の強度が確保できない場合は、昇降路内にエレベーターを支える鉄塔(自立鉄塔)を建てる必要が生じてきます。施工床面積は3人乗りで約2m2、2人乗りで1〜1.7m2程度の設置スペースがあれば施工出来ます。しかし、最近価格が手頃になってきたとはいえ、300万円前後の本体価格と工事費、定期的なメンテナンス費用や維持費などのランニングコストを考えると、誰でも手軽に・・・とはいかないようですし、ましてやバブル期以降に建築された3階建て住宅には、土地価格を吸収するため、手抜き工事や違法建築が相当数包括されていると言われていますので、自宅を調べてみると思わぬ「事実」に出くわすなんてことも珍しくないようです。
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| 3階建てのプランニングには建築家も力を注いでいる(イメージ写真) |
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3階建て住宅は、都会狭小地の最適有効利用として登場し、事業者側の工夫と努力によって住宅スタイルのレギュラーポジションを獲得しました。様々な試みと研究の結果、2階リビングやビルトインガレージ、空間利用のロフトやデザイナー仕様など、魅力ある住宅としてのアイテムを揃えて来ました。しかし、住宅の基本はやはり人が住まい、暮らし、眠るという住生活の基盤となる器です。どのような形の住宅であるかに係わらず、住まい手はそれなりの覚悟と、人生のポリシーを持って住宅と向き合わなければなりません。3階建てに暮らすとは、家人の息遣いに耳を澄まし、縦の動線を楽しみ、狭小敷地の隙間に咲く名も無き花を愛しむ、そんな豊かで広い心が必要とされているのかもしれません。
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