「孫のためなら」
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「本当に、孫って可愛いと感じるものなんだな」
守は、ハイハイしている美優を見て、目を細めた。 |
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以前に、同年代のゲートボール仲間が「孫は手放しで可愛い」と言っているのを聞いていたが、当時、孫のいない守には実感が湧かなかった。
それが、娘が妊娠し美優ができた今は、ゲートボール仲間の言葉を心から理解することができる。
美優が赤ちゃんを卒業し、自分の力と意思で動くようになってからというものは、手放しで可愛い。
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今日は、娘と孫が実家に戻ってきている。
というよりも、自分が美優と会いたいために、呼び寄せたのだが・・・
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「お父さん、ちょっと話があるの」
娘の美香が、美優を抱き上げこちらを向いた。
「改まって何だ?」
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「実は、徹さんが大阪に転勤なの。それで、家族みんなで引越ししないといけないの」
徹さんとは、美香の旦那で守から見れば娘婿ということになる。
「そうか、徹君の会社は全国に支店があるからなあ、でも家族みんなで行く必要も無いんじゃないのか?単身赴任って方法もあるだろ」
守は、美優の頬を指で撫でながら言った。
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「何言っているのよ。家族一緒が一番に決まってるじゃない。美優がこんなに小さな頃からお父さんのいない子にさせたい訳?美優が学校に通いだして、どうしても進路や環境を変えたくないっていう話なら、単身赴任も仕方ないとは思うけど、今ならまだ幼稚園にも行っていないのだから、一緒に行くに決まってるじゃない。」
美香は母さんに似て勝ち気だ。自分がこうと思ったことは、テコでも動かない。
子供の頃からそうだった。
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もちろん守も、家族は一緒にいる方がいいことはよく解っている。
でも大阪への引越しとなると、今のように、週1度は呼び寄せて美優と会うこともできなくなる。
守にとっては、それだけが辛いのだ。
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「はいはい、判ったよ。でも時々美優を連れて帰って来いよ。」
そう抵抗するのがやっとだった。
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大阪というと、北摂に30年ほど前に買った土地がある。
守の実家は、もともと大阪にあった。
実家から会社へ通っていた頃に、将来家を建てて住もうかと思って買っておいたものだ。
高台にある宅地で、大阪を見渡せる眺望が何よりも素晴らしい場所だ。
東京で暮らし始めて既に20年以上経つ。
あの北摂にある土地に家を建てて住むことはないだろう。
もし、美香の家族が大阪に行くのなら、あの土地に家を建てて住めばいい、そう守は思っていた。
そうだ、確かこの家を建ててくれたハウスメーカーは全国に支店や営業所を持つ会社だ。
明日にでも連絡して、大阪のあの場所で、いくらぐらいで家が建つのか見積ってもらおう。
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